Vol.8 CADデータ化とは形から設計データへ
コラム
2026.06.12 Fri
3Dスキャンで得られるSTLデータは「形の情報」しか持っていません。図面を作ったり、寸法を変更したり、加工に使うには「CADデータ化」という工程が必要です。今回はそのCADデータ化とは何か、なぜ必要なのかをわかりやすく解説します。
📋 この記事の内容
- CADデータ化とは何か
- STLデータとCADデータ、何が違うの?
- CADデータ化が必要な場面
- CADデータ化の流れ
- CADデータ化にかかる時間・費用の目安

CADデータ化とは何か
CADデータ化とは、3Dスキャンで得たSTLデータ(三角形メッシュ)をもとに、編集・図面化・加工に使えるCAD形式の設計データを作り直す作業のことです。
前回のVol.07でお伝えしたように、STLデータは「形の情報」しか持っていません。寸法を変えたり、図面を作ったりするには、STLを「下絵」として参照しながらCADソフトで設計データを一から作り直す必要があります。
💬 手書きのスケッチをCADで清書するイメージ
STLデータは現物をそのままデジタルに写し取った「スケッチ」のようなもの。
CADデータ化は、そのスケッチを参考にしながら正確な寸法・設計意図を込めた「清書」を作る作業です。
CADデータ化は、そのスケッチを参考にしながら正確な寸法・設計意図を込めた「清書」を作る作業です。

STLデータとCADデータ、何が違うの?
Vol.07でも触れましたが、改めて整理しておきます。
| 比較ポイント | STLデータ | CADデータ |
|---|---|---|
| 形状の表現 | 三角形メッシュの集合 | 数式・パラメータで正確に定義 |
| 寸法の編集 | できない | 自由に変更可能 |
| 2D図面の作成 | できない | 自動生成できる |
| 加工への活用 | 直接は難しい | NC加工・切削データに変換できる |
| 設計情報 | 形状のみ | 素材・公差・加工指示も付加できる |
| 主な用途 | 3Dプリント・形状確認 | 設計・製造・図面作成すべてに対応 |
💡 ポイント
STLがあればなんでもできる」と思われることがありますが、加工・図面・設計変更にはCADデータ化が必要です。依頼の際に「STLだけでいいか、CADデータが必要か」を最初に確認しておくとスムーズです。

CADデータ化が必要な場面
CADデータ化が必要
図面を作りたいとき
加工業者に発注するための2D図面を作るには、CADデータが必要です。STLから直接図面は作れません。
CADデータ化が必要
寸法を変えて改良したいとき
「この部品を5mm延ばしたい」「肉厚を変えたい」といった設計変更はCADデータでないと対応できません。
CADデータ化が必要
切削加工・NC加工に使いたいとき
NC加工機への加工パス生成にはCAMソフトが必要で、そのためのCADデータが前提となります。
STLのままでOK
3Dプリントで試作するだけのとき
形状確認や試作品の出力が目的であれば、STLデータのまま3Dプリンターに入力できます。CADデータ化は不要です。
STLのままでOK
形状比較・検査が目的のとき
設計データとの形状比較・寸法検査であればSTLデータで対応できる場合がほとんどです。

CADデータ化の流れ
NONSTOPでのCADデータ化は、おおむね以下の流れで進みます。
1
3Dスキャンで現物を取り込む
まず現物をスキャンしてSTLデータを生成します。このSTLが次工程の「下絵」になります。スキャンの精度がCADデータの品質に直結するため、丁寧なスキャン作業が重要です。
2
STLを参照しながらCADでモデリング
STLデータをCADソフトに読み込み、それを参照しながら設計データを作り直します。このとき単純に形を再現するだけでなく、素材・公差・加工方法を考慮した設計意図を込めたデータに仕上げます。最も時間と技術を要する工程です。
3
寸法確認・修正
完成したCADデータとSTLデータを照合して、寸法のズレや形状の再現性を確認します。必要に応じて修正を行います。
4
図面化・データ納品
CADデータをもとに2D図面を作成します。納品形式はCADデータ(STEP・IGESなど)、2D図面(PDF・DXFなど)、またはその両方から選べます。

CADデータ化にかかる時間・費用の目安
CADデータ化にかかる時間と費用は、部品の複雑さによって大きく変わります。目安として参考にしてください。
| 部品の複雑さ | 作業時間の目安 | 部品の例 |
|---|---|---|
| シンプルな形状 | 数時間〜半日程度 | ブロック・フランジ・単純なブラケットなど |
| 中程度の複雑さ | 半日〜1〜2日程度 | 曲面・穴・ネジ穴が複数ある機械部品など |
| 複雑な形状 | 数日〜1週間以上 | 自由曲面・複雑なアンダーカット・大型部品など |
| 鋳物・有機的形状 | 要相談 | 鋳造部品・木型起こし・人体形状など |
💡 ポイント
「この部品のCADデータ化にどのくらいかかる?」と気になった方は、部品の写真を送っていただくだけで概算をお伝えできます。スキャンのみ・CADデータ化まで・図面化まで、必要な工程だけご依頼いただけます。

まとめ
今回のポイントをおさらい
- CADデータ化とはSTLデータをもとに編集・図面化できる設計データを作り直す作業
- 図面作成・寸法変更・切削加工への活用にはCADデータ化が必要
- 3Dプリントや形状確認だけならSTLのままでOK
- 作業時間は部品の複雑さによって数時間〜1週間以上と幅がある

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